【言の葉だより 第十話】~認知症で後悔しないために。家族で話しておきたいこと。
夕食を食べ終えた、ある日のこと。
テレビでは、認知症についての特集が流れていました。
「最近、こういう話をよく見るね。」
誰かが何気なくつぶやくと、家族はテレビに目を向けます。
「そうだね。」
その一言で会話は終わり、話題はいつもの日常へ。
今日の晩ご飯のこと。
庭に咲いた花のこと。
最近あった出来事のこと。
どこの家庭にもある、ごく普通の時間です。
でも、その何気ない時間こそ、本当はとても大切なのかもしれません。
認知症は、誰にでも起こりうる病気です。
症状が進むと、自分の気持ちや考えを言葉にすることが難しくなることがあります。
だからこそ、話せる今だからこそ聞いておきたいことがあります。
「一番楽しかった思い出は?」
「子どもの頃は、どんな夢を持っていたの?」
「今、一番大切にしていることは?」
難しい話をする必要はありません。
何気ない会話の中に、その人らしい想いや人生がたくさん詰まっています。
ある方が、こんなお話をしてくださいました。
「母が認知症になってから、『もっと聞いておけばよかった』と思うことがたくさんあるんです。」
好きだった歌。
若い頃の思い出。
大切にしていた宝物。
家族への想い。
「また今度聞こう。」
そう思っていた”また今度”は、思っていたより早くやってきました。
もちろん、認知症になると、少しずつ記憶が薄れてしまったり、自分の気持ちをうまく言葉にできなくなったりすることがあります。
ご本人はもちろん、ご家族にとっても、戸惑いや不安、そして言葉では表せないほどのつらさを抱えることもあるでしょう。
それでも、ふとした瞬間に昔の記憶がよみがえり、まるであの頃に戻ったかのような笑顔を見せてくれたり、大切な人の名前を呼んだり、家族との思い出話に花が咲いたりすることがあります。
その何気ない一瞬が、ご家族にとってかけがえのない時間になることも少なくありません。
だからこそ、元気な頃の声や表情、その人らしい言葉を残しておくことは、いつかご家族の心をそっと支えてくれる、大切な贈り物になるのかもしれません。
そして、その何気ない会話の積み重ねは、お互いの想いを知る大切な時間にもなります。
家族だからこそ、照れくさくて聞けないことがあります。
だからこそ、無理に難しい話をする必要はありません。
思い出話をする。
昔の写真を一緒に見る。
昔の写真を一緒に見る。
「そんなこともあったね」と笑い合う。
そんな時間を重ねることが、自然とお互いの想いを知るきっかけになるのかもしれません。
🌸今日のまとめ
認知症で大切なのは、「怖がること」ではありません。
後悔しないこと。
「もっと聞いておけばよかった。」
「もっと話しておけばよかった。」
そう思わないために、今日の何気ない会話を大切にしてみてください。
当たり前に思える今日という一日は、明日も必ず続くとは限りません。
だからこそ、今、この瞬間を大切に。
何気なく交わした一言が、いつか家族にとって、かけがえのない宝物になるかもしれません。
🌸言の葉から
当たり前に過ぎていく毎日は、
いつか、かけがえのない思い出になります。
今日という一日が、
あなたや大切な人にとって、
小さな気づきや笑顔につながりますように。